東大発のAI画像解析支援システム開発ベンチャー  ‐ LPixel ‐

0
112

今年2月24日に行われた「Tecstars x Hipstarters Pitch Event」に登壇したLPixel(エルピクセル)。
LPixelは2014年3月に東京大学大学院の生命科学の研究者を中心に設立された画像処理・解析ソフトの開発を行うベンチャー企業だ。

今回は代表の島原佑基氏にお話しを伺った。

 

LPixelのサービスについて教えてください。

我々は東大発のベンチャーで、コアバリューとしてはライフサイエンス分野-医療、製薬、農業等の画像解析、またそれに関わる業務全般をしており、今は自社開発に注力しています。 主に二つあり、一つは医療分野のCT、MRI、顕微鏡、内視鏡といった画像から医師がどうしてそのように診断したかを、ディープラーニングさせ、いかに他の画像解析技術と組み合わせて精度のよいソフトウェアを作るかという研究・開発。
すなわち医師がいままで診断していたものを診断結果のデータをもとにAIを開発し、そのシステムを使用することにより、見過ごしなくより正確に診断できるという、診断支援システムを開発しています。 やはり人間はどうしてもミスをしてしまいますので、それをなくすというところがコンピュータ化する意義だと思います。

二つ目は、医療だけではなく、ライフサイエンス全般の画像解析ができるプラットフォームです。今までは研究者が撮影し、どんどんたまっていく画像解析は我々の所に依頼が届いていましたが、弊社がもつノウハウをAIにし、知識がなくても画像解析ができるようなシステムを開発しています。

現在のボトルネック(システム設計上の制約の概念)を一気になくすような「簡単・高速・高精度」なシステムを目指しています。

 

―島原さんのバックグラウンドを教えてください。

私はもともとエンジニアリング系が好きだったので、自動車を作ろうと思っていました。 機械工学系に進むことを考えていた時に、山中伸弥教授のiPS細胞のニュースを見て、これからの時代は機械を作っている場合ではなく、生物を作る時代だな、と感じ、大学から生物を始めました。 そういった意味で理学のサイエンティストというよりは生物のエンジニアリング、「生物×エンジニアリング」という所に興味がありました。

バイオという分野はすごい情報量を扱います。たとえばゲノムにしても遺伝子からタンパク質ができ、タンパク質がいろいろな相互作用をしているとか、脳にしても複雑すぎて再現できない、というくらいですから、膨大なコンピュータの力が必要になります。 ですので「バイオ×IT」という概念から、まず初めに遺伝子の合成生物学、遺伝子を組み合わせて生物を作る、ということをやりました。
ただ、そこで「まだこの分野はもう少し先ではないか」と感じ、生物を作るなら、まずはもう少し実用的なもの、難しいものはないかと考えているところで画像と出会いました。

ゲノムだと「このゲノムだとこの癌です」ということは、まだあまり言えませんが、画像だと身近で、判断もしやすいということもあります。また遺伝子はなかなか目に見えませんが、画像は顕微鏡でみると美しいものがあったりして、とても面白く、そこから細胞内の挙動のモデル化をし、シミュレーションをして顕微鏡で画像を解析するということをしていました。 そこで感じたのは、とてもニーズがあるということでした。
生物分野では実験や研究する方が多く、ITとはなかなか遠いところがありますので、そこの架け橋となる存在はとても重要になるなと。
その段階でも40くらいの共同研究があったので、すぐ会社にすることもできたのですが、学生で起業する前に、まず圧倒的なスピードで社会経験を積んでおかなければいけない、ということと、会社をグローバルにしたかったので、海外経験を積むことも大事だと考えていましたので、ソーシャルゲームのグリーに入社し、経営企画と人事も経験しました。ただそこでは海外経験が積めなかったので、KLabという会社に転職し、海外事業開発等の経験をさせてもらいました。 そこで起業に至るのですが、最初の一年はKLab在籍中に副業として、週末等を利用し、人件費ゼロで、研究室のメンバー3人で始めました。

 

-なぜ、いつ始めようと思いましたか?

いろいろな積み重ねはあったのですが、まず21世紀は「バイオ×IT」の時代だなと思っていました。そこで新しい仕事なので、新しい会社ができ、それが大きくなっていくのだろうなという認識のなかで「今そういう会社があるかな?」と考えたら、その時点でなかったので、「では自分で作るしかない」と思いで始めました。 大学時代から考えていましたが、実際起業したのは、2年社会経験を積んだあとです。

 

-ターゲットは?また競合との差別化について教えてください。

ターゲットは病院、製薬企業を含むライフサイエンス全般、あとは大学・研究所等ですね。農業分野については、国から研究費を頂いて、環境ストレスに強い作物をつくるための研究をしています。 それも今までは農家の人が経験や勘に頼っていた部分が多いのですが、画像をとって定量的に解析をしています。

競合については各分野においてはあると思いますが、ただライフサイエンスと画像解析全体としては我々のような強みはとてもユニークだと思います。ニーズが先行しているので、もし競合があれば仕事を分かち合いたいと思っているほどです。

 

-今後の展開、また海外への展開について教えてください。

二つありまして、一つは今力をいれている医療です。なかなかこういった新しい取り組みについては「AI×医療は危険ではないか?」という意見もあると思いますが、実際にAIが自動診断をするわけではなく、診断支援のよきパートナーとなるべきものなので、そのような誤解をしっかり解いていきたいですね。 そして日本の優秀な医師の診断をAIにして全世界に発信し、世界最高精度のソフトウェアを、東南アジアでもアフリカでも、世界で公平にわかちあえる、ということに理解を得て、このようなソフトウェアをきちんと医療機器として承認をとって、グローバルで導入させていきたいです。日本にも良質な画像はたくさんありますので、そういったものを日本の強みとして輸出をしていく、ということをやりたいな、と。そのうち、保険点数がつけば、一気に拡がると思うので、そういうところまでしっかりやっていきたいと考えています。

二つ目はグローバル化を加速させるということ。一つのソリューションとしては、すでにシンガポールにiLPixelというジョイントベンチャーがあるのですが、こちらは研究のインフラです。 実はこの会社を設立するときにちょうどSTAP細胞問題がおきまして、これを何とかしなくてはならない、と。ライフサイエンスと画像解析がわかる我々のような人でなければ、こういう問題を防ぐ活動はできないだろうと思い、画像不正検出するようなシステムを提供しています。 実はこのような問題は世界各国で起こっており、現在でもグローバルから問い合わせ多くがあります。シンガポールを拠点に現在は台湾・韓国等にお客様がおり、今後も徐々にグローバル展開を広めていきたいなと思っています。

 

-過去の投資、また今後の投資について教えてください。

公表しているものでは昨年10月にシリーズAで、(株)ジャフコ、東レエンジニアリング(株)、Mistletoe(株)と、ジョイントベンチャーの提携先から約7億円の調達をしました。

今後の投資につきましては、すぐには必須だとは考えていませんが、今後は資金だけではなく、事業的なシナジーがあるところ、特にグローバル化と医療機器としてしっかりパートナーとして入って頂けるところとは積極的に検討していきたいなと思っています。

 

―一日のスケジュールを教えてください。

7:00 起床
8:00-10:00 カフェにてインプットと仕事
10:00-12:00 出社、ミーティング等
12:00-13:00 ランチ
13:00-19:00 外出・来客(ミーティング等)
19:00-20:00 夕食
20:00-24:00 オフィスかカフェにて仕事または会食
24:00-25:00 勉強
25:00  就寝

 

-良く使用するアプリを教えてください。

Evernoteですかね。現在も研究をしているのですが、Evernoteでも記録しているので、これは必須ですね。

 

-お気に入りのハングアウト場所を教えてください。

スタバなどのカフェが多いですね。レストランだと・・・ほぼ毎日なか卯かCOCO壱にいます(笑)。

 

-影響を受けた人物を教えてください。

遠い存在ですが山中伸弥教授です。山中教授のニュースをみていなければ現在は機械のエンジニアになっていたと思います。いつかそういったロールモデルになれたら嬉しいなと思います。

 

かくいう私も単純に医療にAIって大丈夫なのかな?と思ってしまった一人であった。しかし、島原氏のわかりやすい解説により、LPixelが研究者・医師等の負担を減らす。画像解析でより高精度な診断をする。判断ミスを減らし、早期発見にもつながる。ということが良くわかった。 これから高齢化がどんどん進み、医療機関も新たな対応が迫られるであろう日本においては医療をスピード化・平等化する革新的なサービスとなるであろう。 また、日本の持つ強み(データ量や技術等)もどんどん世界へ発信していってほしい。

 

返信

Please enter your comment!
Please enter your name here